学校歯科医をお引き受けして何年になるでしょうか、、今年も8020運動がらみの講演を校医をしている鎌田小学校でしてきました。
 現在、私が所属しています長野県歯科医師会では、8020運動推進事業を進めています。80歳で20本の歯を残そうというこの運動は、厚労省と日本歯科医師会が母体となり平成元年に始まりました。着実に結果は出てきておりますが、長野県の今は8020達成者は20.5%、運動そのものを知っている人の割合は44.0%、まだまだ先は長いというのが現状です。
 そこで、一番確実な方法は!ということで長野県独自にはじめた事業が「こども8020推進員育成事業」というわけです。学童期から、歯・歯周組織の大切さを教えることにより、成人になってから虫歯や歯周病でなやむことが少なくとも、現在より減少するようにという思いから始まりました。
今年は私が学校医をしている鎌田小学校に手を挙げて貰い、準備を始めました。(8020財団の補助金を利用する手前、手上げ方式で先着順に参加校が決定します)対象は、歯肉炎が蔓延し出す5年生。鎌田小学校は5年生は4クラスあります。養護の小松先生と相談した結果、なんと今年はインフルエンザの関係で5年生を、一堂に会しての授業はなるべく控えてほしいという要請でひとクラス毎に一時限という日程を組みました。従って,4回同じ事を授業するのですが、、、、
日時は11月2日、飛び石連休の真ん中の日に決定しました。当院を3連休にして半日、鎌田小学校に滞在?しました。朝から,4時限連続で同じ内容の授業をしたのですが,同じスライドを使っているのに時間配分や内容が微妙に異なるのが不思議でした。1番の理由は子供達のリアクション。うまくいった!と思う授業ができたときにはやはり子供達が真剣に聞いてくれたとき,良い経験が出来ました。さて,この授業ですが,例年の通り、僕の授業の前に,正面だけですが口腔内写真の撮影を終了しています。それを台紙に貼ったものを医院に持ってきて頂き,私が簡単にコメントしてあります。ここが腫れているよ!とか、赤くなっているのが分かるかな?というコメントと5段階評価で今君の歯肉の状態がどの辺に位置するのかを評定してあります。したがって授業の内容も自分の歯肉!を意識した内容にしました。
4限目の授業です。

こうすれば,少なくとも今より自分の口腔内(歯と歯肉)が守れるよ!というお話をして終了しました。一週間後に歯科健診です。とにかく一週間ブラッシング頑張って結果を出そう!という仕掛けです。さすがに半日なれない授業で疲れましたが,真剣に聞いてくれるこども達のお陰でそれほどの疲労感はありませんでした。
さて終了後校長先生と給食を頂きました。園医をしている堀米保育園では給食を頂くことは何度か有りますが小学校では初めて!ちょっと感激でした。

校長先生といろんな話をしながら,僕たちが子供の頃と今を比べて果たして良くなっているんだろうか?という思いが強くしました。実際、いつの間にか私も親となり,生活してきましたが子供を取り巻く環境は年々悪化しているような気がしてなりません。何とか、良くして行かなくちゃ!という思いはあるものの,流されて言っていることは否定できません。何が正しいかは分かりませんがただ、人間が生物として生きていく環境からは少しずつ離れていってしまって居るように思うのです。
校長室の黒板には渡辺校長先生の字で「なせば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」上杉鷹山の残した格言が書いてあります。先生の思いが伝わってきます。
さて、この研修会のフィナーレ?は一週間後の歯科健診です。授業前にコメントした用紙を持参しています。殆どの子供達が撮影時より歯肉の状態が改善していました。中には?という子もいましたがとにかく、授業の効果が明らかに出ました。
 常々、私は自分の体は自分のものなのだから好きかってすればいい!だけれども本当に自分の体を大切に思う人(子供)が居るのであれば,不健康にならないように正しい知識を教えてあげるのが我々専門職、大人の努めと思っています。ですから今回の授業は,彼らのために少しはなったのかな?と自負しています。頑張れ!鎌田小5年生!