3/30付けの朝日新聞、社説より転載させて頂きます。このコーナー、喫煙についての記事が多すぎるかもしれませんが、ここまで来たらしつこくやっていくのが良いのかな?と思っております。
この社説の最後に、「立法措置をすすめる段階」が来ていると書かれています。
そして、下記の赤線部分!これは本当にそう思います。
受動喫煙条例―神奈川の一歩を全国に
学校から飲食店まで、公共的な施設を対象にした全国初の「受動喫煙防止条例」が神奈川県で成立した。他人のたばこの煙を吸わされることによる健康被害を防ぐのが目的だ。
昨年発表された当初案は、不特定多数が利用する施設の全面禁煙をめざしていた。たばこ業界や飲食店業界などの強い反対で分煙や例外が広く認められ、大きく後退したことは否めない。
一方で、違反には罰則が設けられた。国の健康増進法では、受動喫煙の防止は努力義務にとどまる。条例は吸いにくい環境づくりに役立つだろう。
松沢成文知事は「国が動かないなら神奈川から。その第一歩は踏み出せたと思う」と話す。さらに2歩、3歩と進めてほしい。
条例によると、学校や官公庁などは喫煙所を除き、すべて禁煙。飲食店やホテルは禁煙か分煙かを選ぶ。違反すると施設の管理者が過料2万円、喫煙者が2千円。ただし、飲食店などへの罰則の適用は来年4月の条例施行の1年後だ。
パチンコ店などの風俗営業法が適用される施設は、禁煙か分煙にすることが努力義務となった。一定規模以下の飲食店やホテルも同じ扱いだ。
だが、日本の喫煙率は世界的に高いとはいえ、成人4人のうち3人は吸わず、喫煙者の7割はできればやめたいと思っている。神奈川県民の89%は喫煙規制を支持している。飲食店などの経営者はこの現実を直視してほしい。
たばこは、吸う人だけでなく、周囲の人の健康も損なう。肺がんのほか、心筋梗塞(こうそく)などの原因にもなる。子どもではさらに深刻で、乳幼児突然死症候群や発育障害などにもつながり、静かな幼児虐待といわれるほどだ。
国立がんセンターの推計によれば、全国で毎年2万~3万人もの人が受動喫煙による病気で死亡している。
日本も批准した世界保健機関(WHO)のたばこ規制枠組み条約は、受動喫煙による健康被害を防ぐために、公共の屋内空間の禁煙を求め、そのための立法措置を求めている。
受動喫煙はわずかな量でも危険。分煙では健康は守れない、というのがWHOの見解だ。喫煙室や空気清浄器は、高価な割に効果が薄い。
これに従い、世界各国で屋内の禁煙化が進んでいる。煙が立ちこめていたアイルランドのパブも今や禁煙だ。
日本でも首都圏のJR駅のホームは4月から全面禁煙となる。全国のタクシーも7割以上が禁煙車だ。民間では大きな変化が起きている。
厚生労働省の検討会も今月、受動喫煙の害を明確に認め、公共空間は原則全面禁煙とする方向性を打ち出した。
立法措置を進めるべき段階だ。全国の自治体はぜひ神奈川県に続き、国会を動かす力となってほしい