掲載が大変遅れましたが、当院の春原衛生士が以下の発表をしてくれました。非常に興味深く大切な論文の紹介です。長文なため5回に分けて掲載いたします。じっくり読んでいただきたい内容です。著者の幕内先生は食を通じて健康というものを身近に実感させて下さる管理栄養士でいらっしゃいます。
『はじめよう!歯科医院での食生活指導』
衛生士の春原です。
昨年11月2日の院内勉強会で、栄養士の幕内秀夫先生著の『はじめよう!歯科医院での食生活指導』という本を要約し発表しました。
私は一人暮らしをしていたり、ダイエットを繰り返したりと、かなり栄養の偏った食生活をしています。自分がこのような状態で「患者さんに食生活指導が出来るのか!?」と思い、この題材にしました。
当たり前の事なのだけれど出来ていない事が盛り沢山でしたので、皆さんにもご紹介したいと思います。
≪はじめに≫
WHOは「2000年以降に生まれる子どもの40%が糖尿病になる可能性がある」と発表しました。実際にわが国でも小児の糖尿病や脂質異常症などが急増しています。その背景に食生活の問題があることは既に常識になっています。いまやテレビ、新聞、雑誌から食生活と健康に関する情報が流れない日はありません。しかしそのほとんどは「食生活」の情報ではなく、1つの食品に関するものです。情報は沢山あるように見えますが、正しい情報を得る機会はほとんどないのが現実です。
 このような現状を考えたとき、小児期から継続的に通院する可能性の高い歯科医院の役割は非常に大きくなっているように思います。歯科医院ほど「食育」に最適な場はないのではないでしょうか。しかし現状の歯科医療現場における食生活指導を見ていると、口腔だけを見ていて、その食生活が全身に与える影響を忘れたものが多いような気がしてなりません。「口は災いの元」と言いますが、まさに歯科医院こそ、生活習慣病予防の最前線であって欲しいと願わずにいられません。口腔を越えて、未来ある子ども達の全身(心)に責任を持った食生活指導をする歯科医院が増えることを願っています。