小学校の校医をしていますので年2回の健診は必ず行うのですが昨年同様、高学年になるにつれ子供たちの歯肉は歯の根元のところが赤く腫れる歯肉炎の症状を呈するようになる子が春の健診で多く見受けられました。学校側と相談した結果、今年も6年生を対象に歯肉炎の講話、対策、を実践してみようと言う事になりました。
プログラムは以下の通りです
①11月12日~当院の口腔内撮影カメラを先生に貸し出し、6年生全員(143名)の正面の歯と歯肉の写真撮影(学校にて)をします。
②その写真を所定の用紙に張り付けてもらい(この用紙は写真のBefore,After がA3の用紙の左と右に貼れるようになっています。養護の小松先生の力作です!用紙左のBeforeには本人の自分自身の歯肉に対するコメント、保護者のコメント、そして全員分を当院へ)③当院では私と衛生士でどこがどう腫れているのか、をコメントします。今年は5段階評価をしました。一番良い歯肉が5。以下順番に1までのランク付けをしました。さすがに5の子はほとんど居ませんでした。
④11月22日 第1時間目 私が6年生に歯肉炎について、原因と対策を説明します。
コメントを書いた用紙をこのときに各自に配ります。5段階評価の説明、みんな「俺は2か、、、」「私は3なんだ、、、」悲喜こもごもの反応!
そして、歯肉炎の原因はプラーク(歯垢)なんだよ!先生から頂いた歯垢を位相差顕微鏡で全員に見せます。「ウエ~~~」「でもみんなの口にも居るんだよ~~」
⑤スタッフを全員連れて行きましたので説明のあとマンツーマンで出来るだけブラッシングの指導をします。「ここはこういうふうに当てると良いよ」ってな具合です。
最後の言葉は「11/30に歯科健診を行うからそれまでに今より絶対にきれいになるから頑張れ!
」果たしてどうなるんだろうと思いながら学校をあとにしました。
⑥11月30日 午前 6年生歯科健診当日、みんな用紙を持って来ています。通常の歯科健診の他にBeforeの写真と現在の歯肉の違いも判定しなくてはいけません。ただ結果は、、、、、
ほとんど全ての子供たちの歯肉の炎症の改善がみられました。涙が出るくらい嬉しい瞬間です。
中には一気に2段階上がる子もいて、、
「よく頑張ったじゃないか!!」の言葉に笑顔で「ハイ!」という子供たちの返事に思わず笑みがこぼれました。勿論たった8日間です。まだまだ良くなる途上の子供たちに⑦再度個別にブラッシング指導。 予定していた時間がやはり足りなくなり、健診終了と同時に学校をあとにしましたが、子供たちはやっぱり素直です。よくなりたいんです。ほめられたいんです。それがよく分かりました。健康教育をするとき歯肉炎は結果が早く出るので最高の材料となります。
これで全てが上手くいくなんて事はありません。健康に関する教育はくり返しくり返ししていかなくてはいけないと思っています。徒労に終わる事もありがちです。でもあきらめてはいけません。子供たちのあの嬉しそうな笑顔に嘘はありません。