いよいよ最終日を迎えてしまいました。(この表現がピッタリ!もう少し合唱団員でいられる時が長くつづいて欲しい~~~)
今日は、本番が16時から。事前の連絡で「11時からレコーディングがあるので準備ください」のメールがあり、従って集合は1時間前!三人分のお弁当を家内の手伝いをして作り上げ、水筒も用意し、いざ、松本文化会館へ。昨日、Aプロも拝聴したので、ほとんど、毎日通っているに近い会館への道は、日曜日と言うこともあり、空きゞきしています。
今回の戦争レクイエムは、CD発売が決まっていて、4公演全部の録音をし、その中で良い状態の音源を切り貼りして一本の完成品をつくるということをする予定だったそうですが、ライブ録音のため音量の小さいところの会場のお客様の咳や、ノイズがやはり気になると言うことで、部分的に箇所を決めて再録音ということになりました。CD録音なんて初めての経験ですし、再演する箇所が比較的音量の小さいところ、あるいはほんとにPPPのところなので合唱団も緊張しました。小澤さんは、事前に取り直しの場所を我々に明示し、演奏します。その直後、それをミキサー室で聞いているエンジニアとマイクで連絡をとり、その録音がOKか否かを決め、だめならもう一度、OKなら次の箇所へ!と言う作業を続けます。もちろんソリストも何回か同じ箇所を歌います。OKが出るたびに拍手が起こります。CDに関しては早くできあがりを聞いてみたいものです。またまた良い経験が出来ました。
今回、BプロはNHK BS1で生中継がありましたが、プログラムの性格上、NHKには是非とも録画でも良いから戦争レクイエムの演奏を制作して欲しかったな!と個人的に思いました。自分が映るとか、そういうことも多少はありますが、この曲のもつ反戦へのメッセージを是非、公のメディアに乗せて欲しかったなと思うのです。
さて、最終日は、やはりいろんな意味で感慨深いです。1/29に幸運にもオーディション合格。以来、本日までの7ヶ月間の思いが交錯します。~残念ながらオーディションに受からなかった方々の思いや悔しさを、いつも思いながらこの一連のブログを書かせて頂いている、と言うことを白状しておきます~
今日でおしまい、と思うとなぜかもっと歌っていたい、、そんな感情をおもしろいなーと思っている自分もいたりして、、非常に不思議な思いでした。とにかく最終日の演奏を楽しもう!と思いいざステージへ、袖にいるときには頑張ろうね!っていう気持ちからか、あるいは今までの感謝の気持ちからか、合唱団員同士で握手。今までの3回にはなかった雰囲気がやはり最終日にはあります。考えてみれば、この演奏会が終われば一生会わなくなる人もいるんだな~~なんて思いながら出を待ちます。
ステマネさんの合図で上段に上がる人からステージへ、会場からの拍手が聞こえます。
後は、小澤総監督のバトンに身をゆだね、あっという間の、レクイエムでした。回数を経るたびに演奏時間がだんだん短く感じて行くのは不思議です。小澤さんの思いが十分に伝わった演奏だったように思います。そして自分自身、今までで最高の演奏が出来たように思います。やはり、最後のア・カペラの「アーメン」は今まで感じたことのない感覚が体を突き抜けました。長い沈黙のあと、小澤さんは両手を静かにおろします。静かに拍手が起こり、すぐに会場全体が拍手で包まれました。明らかに総監督の顔には満足!が伺えました。なんとか小澤さんとSKOのメンバーと一緒に演奏し終えることが出来た!歌い終わった満足感と、、、いろんな思いが行き来して目頭がやはり熱くなりました。
小澤総監督は、NHK 100年インタビューの中で有働アナウンサーを相手にいろんなことをお話していますが、集団の中の個こそ大切!と言うことをおっしゃっていました。つまり意識ある表現を個が積極的にしていくことこそ音楽をつくる上で大切なんだと。音楽は作曲家の思いを演奏家がどう感じてどう表現していくか、それが大事と繰り返しおっしゃっていたことも思い出されます。自分で果たして何処までこの曲を解釈して何処まで表現できたかは甚だ疑問ですが、その努力はしました。
心地よい気持ちで、楽屋に戻り、着替え、仲間に「お疲れ様」の挨拶。皆、満足そうで、そして、寂しそうで、、、、いろんな思いが各の心にあるのは当然です。遠方から仕事を長期に休んでこの曲のために、エネルギーをつぎ込んで来た仲間もいます。ほんと、お疲れ様でした。そして感謝です。最初の47名が誰一人リタイヤすることなく最終日までやり通したというのは凄いことだと思いました。
さて、打ちあげの席で、小澤さんは、来年12月、ニューヨーク、カーネギーホールでの再演を我々に呼びかけました。2010年の12月、ジャパンウィークで、この戦争レクイエムをこのメンバーで再演したいのだそうで、、、、、えっ?困ったことになったな、、、、むふ!しかし、何を置いても行かなくては!と興奮冷めやらぬ感情の前では否定的な思いは全くなくなっていました。さて、これから現実と照らし合わせて真剣に考えるとして、、、、
打ちあげの席で自らマイクを持って会場を移動しながらインタビューする小澤総監督です。天性の人なつこさと優しさが会場を暖かい雰囲気に包んでくれます。

世界で一冊しかない小澤征爾サイン入り「戦争レクイエム」の楽譜
練習開始から使っている楽譜の中表紙です。サイトウキネンから貸与された楽譜は通し番号とサイトウキネンフェスティバルのハンコが押してあります。鉛筆くらいの書き込みであれば返還が可能とのことで貸与されるのですが、記念になると言うことと、鉛筆ごときの書き込みでこの曲は御しがたいと言うことでほぼ全員が実費で購入しました。実際、この楽譜はマーカ-で自分の歌う箇所を明示、総監督の指示は赤色鉛筆、合唱指揮のピエールさん、三河先生の指示は青色鉛筆、等々書き込みだらけになりました。鉛筆書きは歌詞の和訳、曲想記号の和訳等々、、、
サインを頂いた顛末は以下の通りです。8月17日から始まった小澤総監督の練習が一段落した22日の練習後、ロビーで我々SKF合唱団が来週に向けての注意を受け、解散後の事です、殆どののメンバーが帰った後、雑談していると、なんと総監督が目の前を横切って歩いて事務局に行くではありませんか!いつもマジックを胸ポケットに入れている合唱団メンバーで長野から通っているSさんが機転を働かせて数分後、事務局から出てきた総監督にサインを求めます!そこに居合わせたメンバー10人弱が楽譜に総監督のサインを頂いちゃいました!ミーハーですが、楽譜に「小澤征爾」のサインを頂きホントに嬉しかったです。考えてみれば50歳のいいおじさんが70歳過ぎのおじいさん(ほんと失礼!)からサインもらって嬉しいなんて変な感じですが、これがまた嬉しかったですね~~~合唱団のメンバーとはいえ、個人的に小澤さんとコンタクトをとるという雰囲気は全くありません。やろうと思えば携帯でステージから目の前のマエストロを撮影することも可能ではありますし、追いかけてサインをねだることも可能なのですが、それを敢えてしない、というかあの集中力で指導して下さっている総監督には決してできない行為なのです。ですから、偶然こういうチャンスが生まれたのは幸運としかいいようがありません。世界でただ一冊の楽譜になった、その楽譜を持って公演に臨んだ訳であります。
島田さんのブログ、ほんとに良く全てのプログラムについて詳細なコメントを書いておられます。文章もお上手ですし、、リンクさせて頂いて良かったです。
島田さん、お疲れ様でした!またお会いいたしましょう!!
最高の夏が終わりました。
SKOと総監督に感謝!