中村勘三郎率いる「平成中村座」の歌舞伎公演がまつもと芸術館で開かれ,大成功のうちに終了しました。正直言いますと歌舞伎を生で見たのはこれが初めてでした。感想は,と言いますと『なんか,ストーリーとかに無理はあるけれどそれはオペラと一緒で,非常に面白かった』という事になります。鍛えられた芸を見せてもらいました。
 さて、チケットがまず手に入らないんですよ。楽勝だと思っていた一番最初のコンピュータ事前予約で落選し、窓口発売は都合で行かれず,もう今回はあきらめようと思っていたのですが7/8に追加公演があるという情報を入手、電話予約のみのこの公演のチケットをゲットしようと6/15、10時から電話の前に陣取り何回ダイアルした事でしょうか。結局11時過ぎに電話がつながったその時には桟敷席と一等席は売り切れ,でも二等だって見られるんですから構いません。予約完了した時には結構疲労していたりして、、後から聞いた話ですがやはりゲットできなかった知人が何人か居てラッキーだった事を知りました。
パンフレット表紙
さて,当日、役者さんたちののぼりがはためく芸術館に入ると信州の酒蔵(10社以上あったかな?)の一斗樽が積まれておりその光景が歌舞伎の雰囲気を高めておりました。
ホワイエには信州の特産品のお店が屋台を並べるように配置され買い物が出来るようになっておりましてちょっとした縁日の雰囲気!また出演者たちがその場でお囃子を奏したり,お手玉を見せてくれる,そんなパフォーマンスもありいやが応にもこれから始まるぞ!という気にさせられます。席につきます。できあがった舞台を見て,さてと左右に目をやるとなんと,これから演じる役者たちが客席や通路で立ち話をしていたり散歩を楽しんでいたり,喧嘩を始める若衆や,獅子舞に見とれる町衆や、、、そんな現代の観客とカツラをかぶった時代の役者たちが面白く絡まったある瞬間に突然舞台は始まります。まあ,お見事というしかない『間』を見させていただきました。
セット、長唄,鳴り物、和太鼓、竹本浄瑠璃、、お芝居を引き立てる人たちの高度なパフォーマンスに支えられてお芝居は進行していきます。特筆すべきは中村勘三郎の台詞でしょう。マイクなしで非常によく聞き取れる言葉!恐れ入りました。言葉は物語を追って行くためにはなにより大切です。従って台詞が聞き取れるか否かは舞台そのものの出来にも関わってくる筈です。勘三郎の言葉はその点見事としか言いようがありません。名役者である事を実際に拝見して納得した次第です。
勘三郎と橋之助パンフレットより
出雲阿国(1600年頃)が歌舞伎の発祥とすればすでに400年の歴史がある訳で,この伝統に裏付けられた「技」はやっぱり凄いな!と思います。その伝統と,中村勘三郎が取り入れる新しさが見事に解け合ってみせた今回の『夏祭浪花艦』~なつまつりなにわのかがみ~は鑑賞できて本当にラッキーでした。
 芝居が終わった後のカーテンコール(ってか歌舞伎の場合にはどういうのか知りませんが)で観客総立ち(standing ovation!)で拍手はサイトウキネンでもそうはありません。本当に全員が立ち上がっての拍手でした。
新聞によると,千秋楽に感極まった勘三郎!「来年も絶対この松本に来ます!」と言ってまわりの関係者を慌てさせたとか、、、
めでたしめでたしの平成中村座の松本公演でした。
さてこれが終わると今年もいよいよSKFです。
松本は最近、街を歩いていてもとっても元気な気がします。