6月26日、松本文化会館大ホールで「マイ・フェア・レディー」の公演がありました。とっても楽しいミュージカルでした。
 歴史をひもといてみますとブロードウェイデビューは1956年3月NYのマークヘリンジャー劇場で初演。主演はレックス・ハリソン、そしてなんとイライザは大好きなジュリー・アンドリュース!この舞台はトニー賞ミュージカル部門で最優秀作品賞、作曲賞、脚本賞、演出賞、主演男優賞に輝き,2717回,実に6年半のロングランを続けました。そして、1964年にオードリー・ヘップバーン、レックス・ハリソン主演で映画化されましたのでご存知の方も多い筈。その年のアカデミー賞作品賞を始め8部門を受賞しました。僕自身は映画のイメージが強く果たしてどんなステージになるのやら?と思って出かけました。
公演のチラシです。主演は写真の大地真央さん!何とも美しい,チャーミングなイライザを演じてくれました。ファンになってしまいました。生のオーケストラに,歌と踊りのプロフェッショナルたちが3時間に近い舞台を見せてくれました。お見事!今年のツアー中に大地さんは500回公演を迎えたそうです。歌、演技、踊りどれをとっても見応え十分でした。イライザが田舎言葉をヒギンズ教授に矯正されていくのですが、その田舎言葉をそれらしく喋る大地さんの台詞には場内爆笑!来場した観客は皆満足したのではないでしょうか?お近くでの上演がありましたら是非チケットをお求めになることをお勧めします。「踊り明かそう」「スペインの雨」「運がよけりゃ」「教会へ連れて行け」「君住む町」、,有名な名曲の宝庫のミュージカルです。
プログラム1.000円でした。シンプル!
観劇してよかった良かった!というだけでは私のブログらしくありません。プログラムを読んで原作がバーナード・ショー(1856~1950)の戯曲「ピグマリオン」(1913)ということを知りました。
 社会の底辺にいた花売り娘のイライザは音声学者のヒギンズ教授から上流社会でも通用する話し方を学びます。その過程でイライザは知的にも躾的にも急成長します。話の中で最終的に王子とダンスをし会話するところまでになるのですから、、。そしてヒギンズの操り人形であることに疑問を持ち職業的な自立を求め彼を批判する地点にまでたどり着きます。
 ピンと来たのはショーの書いた戯曲の「ピグマリオン」という題名でした。どこかで聞いたことがあるな、、、ラモー(Jean-Philippe Rameau, 1683年9月25日 – 1764年9月12日)の作品に同名のオペラがあったなと思い、CDラックへ。探すこと数秒!あった!(ちなみにラモーは院長趣味のページ4.クラブサン曲集を既にご紹介してあります)
ラモー作曲のオペラ「ピグマリオン」はギリシャ神話から題材をとっています。

キプロス島の王ピグマリオンは彫刻に長けており自ら象牙で作り上げた女の像に恋をしてしまいます。アフロディーテにその彫像に似た女性を求めたところ,彼女は彫像に生命を与えそれは人間となりました。ピグマリオンはその生きた彫像ガラティアを妻とし2人の間にはパポスという娘が誕生します。
 ラモーのピグマリオン(初演1748/8/27 パリオペラ座)は非常に好評で再演もたびたび行われたようです。その後ジャン・ジャック・ルソーがメロドラマ「ピグマリオン」を作ったそうです。(台本:ルソー、音楽:コワニエ)
 さて,源氏物語の光源氏といい,ピグマリオンといい,ヒギンス教授といい,男性が自らの手で作った女性を慈しむうちに恋のとりこになるというのは古いようで新しい「永遠のテーマ」なのかも知れません。
さて,今度の「マイ・フェア・レディー」の公演、高校時代に見なくて良かったと真剣に思いました。だって「絶対(歌って踊れる)あの世界で生きる!」って決めて東京に出たかもしれないから、、、、そのくらい楽しいステージでした。
ラモー作曲 一幕のバレー付きオペラ『ピグマリオン」(1748)
グスタフ・レオンハルト指揮 
演奏:ラ・プティット・バンド(コンサートマスター:シギスヴァルト・クイケン)   パリ・シャペル・ロワイヤル合唱団(合唱指揮:フィリップ・ヘレベッヘ)
今このメンバーキーボード打っていてこのメンバーは凄い!って思っています。ほんと!っていうか,多分レオンハルトの名前で購入したんだと思うのですが、コンサートマスターがクイケン、合唱指揮がヘレベッへは知らなかったです。このCDの完成度がわかります!!
BMG deutsche harmonia mundi BVCD-1817