このCDのタイトルの意味は,いったい何ぞや?と思ってネットで検索してみました。「昔から今まで」という意味で,司馬遼太郎さんの文庫本に同名の私小説があるようです。未読ですが。
最近、武久さんのCD紹介が多いのですが,リリースされている全てのCDを網羅しようと決めました。さて、このCDの題が示す通り、このCDでの武久さんの挑戦は,若いバッハと晩年のバッハをそれぞれの雰囲気に合うチェンバロで弾き比べていることです。
「この時代の日本に,ほぼ半世紀生きた私の今を,バッハという大河に浮かべてみる。そのときできた一瞬の波紋、微らかな揺らぎ,水の戯れ,それがこの録音である。
 或はまた,バッハという大樹の下で一夜の宴を張る。古の友との再会、敬愛する人物との語らい,心の音楽,魂の舞、霊の陶酔、、、この録音はそれらの至福の瞬間の記録でもある。」
このライナーノートから始まるCDの解説からは、武久さんがいかにバッハを敬愛しているかが分かります。そしてその洞察はきわめて深く、的確で、暖かい。専門的なことは分からないところもあるのですがとにかく同じくバッハの音楽が好きな仲間として共感してしまうのです。
プレリュード ハ短調 BWV921(若い頃)から始まり 最後は
フランス風序曲 ロ短調 BWV831  で締めくくりです。
ハ調で始まりロ短調で終わるこの選曲にはなにがしかの意味を認めざるを得ません。再び、よく考えられたCDだなと感心してしまいます。
ALM RECORDS ALCD-1085