ビーバーという作曲家がいます。2004年はハインリヒ・イグナツ・フランツ・フォン・ビーバー(Heinrich Ignaz Frantz von Biber 1644~1704)の、没後300年という、 記念すべき年でしたが、ご存知でしたでしょうか?知りませんよね。(私もCD買ってから知ったのです)それにしても2006年のモーツアルトイヤーの凄まじかったですね?テレビの特集は毎月!どこかで。昨年聞きに行ったコンサートは結構ありますが,必ずと言っていいほどプログラムにモーツアルトの名前がありました。ちなみに今年はシベリウス没後50年で,いろいろなイベント等があるようですが。個人的には2020年が楽しみです。(ベートーベン生誕250周年!!)
さて、このCD、43.でご紹介した超名人集団MAK(ムジカ・アンティクア・ケルン)の演奏であります。バッハやテレマンも手本にしたというこの隠れた名作が、作曲者の没後300年+アルヒーフ(レコード会社)との契約25年&MAK結成30年という節目の年に、MAKのリーダー:ゲーベルの執念の実現として蘇った意欲作です。ビーバーのメモリアル・イヤーを記念してリリースされたこのCDは日本でも「2004年 レコード・アカデミー賞・古楽部門」を受賞しました。
ビーバーは、17世紀の傑出したヴァイオリン奏者であり、第一級の作曲家でもあります。ジャンルを問わずに多くの作品を残しました。
「技巧的で楽しい合奏音楽」 (Harmonia artificioso-ariosa) は、基本的に2つのヴァイオリンと通奏低音のための組曲集です。が、ただの組曲ではなく、「スコルダトゥーラ」を自在に駆使しています。「スコルダトゥーラ」(変則的調弦)というのは、ヴァイオリンの調弦を変えることで、通常はE-G-D-Aなのを、曲によって、たとえばA-E-A-Dにするように指定されています。これにより、普通の調弦では演奏できないような難フレーズが弾けるんだそうです。
確か、ギターにもこういう調弦を変えて演奏するのがありましたね。ただ、通常の調弦じゃないってことは頭の中がこんがらがるでしょうね。
とは言え、実際に聞いても調弦が変わっているなんて全くわかりません。
曲は「技巧的で楽しい合奏音楽」と題されている通り!ちょっと聞いてみても演奏は難しそうってことがよくわかりますが、聞いていて非常にのりがいいと言いますか非常に楽しいです。
リーダーのラインハルト・ゲーベルは、ライナーノートに、この曲を録音することは30年来の念願であり、名誉であり、義務でありのようなことを書いています。演奏はとても楽しそうで、名手5人が目と目で合図し合いながら緊張感を保ち笑顔で演奏しているように感じます。ゲーベルさんにとっては至福の時間ではなかったと思われます。
ARCHIV UCCA-1039/40