作曲者のBiagio Marini(ビアージョ・マリーニ 1587年頃~1663)は初期バロック時代にイタリアで活躍した作曲家でありヴァイオリニストです。時代がルネッサンスからバロックへと変わりつつあった時代に当時のアヴァンギャルド(前衛的な)作曲家だったそうです。いつの世にもアヴァンギャルドは居るという証のような人らしい。生年が1587年「頃」っていうのもアヴァンギャッルドっぽい?と思う。まだ紹介していないが,この時代の音楽界の将に巨人とも言えるモンテヴェルディのもとで働いていたという。当時、モンテヴェルディはヴェネツィアのサン・マルコ聖堂の楽長に就任し礼拝堂の音楽活動の改革を精力的に進め,イタリア各地から達者な音楽家を集めては礼拝音楽家達のレベルを上げ新しい音楽活動を次々に展開していったのです。そういう中でヴァイオリン奏者として採用されたマリーニは師の素晴らしい影響を受け継ぎ後に仕事の場をドイツ,ベルギーにまでのばした際も、ヴェネツィアで学んだイタリアバロックの技法を教え広めまた発展させていったのです。ですから、西洋音楽史の教科書には必ず登場する有名な音楽家だそうですが,やはり作品は演奏される機会が決して多くはありません。
 題名の「風変わり」とあるのは、このCDの第6曲ソナタ第4番「2弦で奏するヴァイオリンソナタ」が1931年に研究者(シェーリング)によって編纂された「譜例による音楽史Geshhichte der Musik Beispielen」に掲載され,それが一躍マリーニの名を有名にしたからなのですが、グルッポ、トレモロ、アフェッティなど様々な装飾技法、重音奏法、ボーイング・スラーなど多種多様の奏法の実験が盛りだくさん試みられた作品だからだそうで,キー打ってる自分もなんのこっちゃ分りません、、、(僕も弦楽器やってるのですが,,,冷や汗タラーっです)従って音楽史の中で風変わりと呼ばれるに至ったのだそうです。しかし、実際聞いてみると確かにこった作りだなーと思うところもありますがきわめてイタリア的な雰囲気のする曲の数々です。抑制の利いた品の良さを感じます。
 ヴァイオリンはアンドルー・マンゼ ギター:ナイジェル・ノース(リュートの名手)鍵盤:ジョン・トールほか古楽器演奏の盛んなイギリスで活躍しているメンバーが絶妙なバランスで音楽を構成しています。
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