映画は総合芸術と呼ばれています。演技あり、音楽あり、美術あり、最近ではSFX等Digitalの力も借りて見ている我々を別世界に誘ってくれます。だから,映画を見るのは小さい頃から好きでした.中学時代は友人と松本に来た映画はほとんど全て見たと思います。
居ながらにして時代を自由に行き来して現在と違う世界(勿論作り手の創造の産物ですが)をかいま見ることができるのは映画を見る楽しみのひとつです。シェークスピア(1564~1616)が生きていた時代から19世紀を舞台にした映画は興味深いです。この時代はルネッサンスの流れを受け、芸術的に人々の表現が爆発し始めそして、良いにつけ悪いにつけ、見事に花開いた時代と認識していますが。数年前に「恋に落ちたシェークスピア」という映画を見て,人間が本当にいきいき生きてたんだなーと感心しました。物や情報が有り余っている今の時代より多分豊かに生きていたんだろうな、できることなら本当に行って暮らしてみたいと思いました。ヒロインは実に美しかった!!とまあ、CDを紹介するためにこの前ぶりはいささかとってつけたような嫌いもありますが今回のプレトリウス(1571~1621)は時代が本当にシェークスピアとほとんど同世代の作曲家です。このCDに納められている曲自体はプレトリウスの作曲ではなく当時のフランスの舞踏家(勿論音楽家でもあった)の曲を編曲したものです。シェークスピアの作品は映画になっているものが少なくありませんが,画面のそこかしこにこのCDで聞かれるような舞踏音楽が使われています。テルプシコーレTerpsichoreとはギリシャの舞踏の女神(=ミューズ)からとられていて,この曲集の名前にもなっていますがその表紙には「この曲集にはフランス人の舞踏教師が踊る様々な踊りの曲が含まれておりそれらは王侯貴族の食卓や宴会を楽しませる為に用いられるものである」との記述があります。そんな昔に思いを馳せて聞くと、映画のシーンが甦ってきます。
演奏はフィリップ・ピケットを中心にニュー・ロンドン・コンソート.当時の楽器をフルに使い、いい味を出しています。
POCL-5209