こんなタイトルの本を見つけました。
歯科医師としては非常に興味深く読ませて頂きました。
著者は、現役の呼吸器の専門医の川合満先生です。
出版元:メディアファクトリー 定価 1.000円(税別)

裏表紙のたすきに著者からのこんなメッセージが書かれています。
朝、起きたばかりの口の中は、
ウンチ10グラム分に相当する細菌でいっぱいです!
朝ごはんのあとに、
歯みがきをするのでは遅すぎるのです。

私も講話させて頂くときに、歯垢は細菌学的に言えばウンチと一緒ですよ!と聴講者の皆さんには話をしていますので納得してしまいました。
読んで頂くのが一番ですが、かいつまんで説明をします。
就寝時の口腔内は副交感神経支配となり、唾液の分泌がほとんど無くなります。唾液は分泌されることにより口腔内の抗菌・殺菌に役立っていますが、就寝時、この分泌が無くなることにより、口腔内の細菌は爆発的に増えます。起床時の口腔内の細菌の料と細菌が出す酵素(タンパク分解酵素)の量はウンチ(糞便)10グラム分に相当するのだそうです。この細菌たちは腸管等から口腔内に上がってくるのですがこいつらがもっているタンパク分解酵素が、インフルエンザを体内に取り込みやすくする元凶なのです。インフルエンザウィルスはタンパク分解酵素と出会わなければ細胞に感染しないのだそうです。朝起きたときの口腔内にはこれらのタンパク分解酵素を持った細菌がいるわけでそいつらを口腔内に残したまま食事をすることによりインフルエンザにかかりやすい環境を作ってしまうのだそうです。従って、起床直後に歯みがきをする意味があると著者は説明してくれています。なるほど!と思わずにはいられません。
詳しくは読んでみてください。当院に貸し出しようがあります。
川合先生はこの指導で毎年5~10人のインフルエンザ感染者を一人にまで減少させることができたと紹介しておられます。
また後書きには京都大学保健管理センター川村孝教授が「水道水のうがいがカゼの発症を40%低下させヨード液は無効であった」という報告、また東京歯科大奥田克爾名誉教授の「歯みがきによりインフルエンザの罹患を1/10に減らした」(これは有名な論文です)という紹介もあり読む価値のある一冊だと思います。