最近,生活がバッハとともにありましてですね,とにかくバッハを紹介し続けようと!マタイ受難曲のような超重いアルバムから少し離れましょう。もう録音は20年以上前になりますが、このCDを紹介致します。
原曲は無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番ニ短調BWV1004
   無伴奏チェロのための組曲第6番ニ長調BWV1012
この曲を若きギタリスト山下和仁さんが演奏します。(1961年3月25日生まれ あら!僕と誕生日が一緒だ!僕の方が2歳年上ですが、、)言うまでもなく、山下和仁さんは日本を代表するクラシックギタリストです。長崎市に生まれました。幼い頃から父 山下亨にギターを学び、これからが凄いのですが、16歳の時にラミレス ( スペイン )、アレッサンドリア国際 ( イタリア )、第19回パリ国際 ( フランス ) の世界三主要ギター・コンクールにいずれも史上最年少記録の16歳で優勝し1977年の日本音楽界を驚かせました。
 それまでギターでこの曲の全曲を録音するということ自体、発想されることがなかったそうです。山下さんのギターに対する、ほかの楽器と一緒!という考えが既成概念(ギターがクラシック音楽の中で特殊な存在であること)を打ち砕きこの録音になったとライナーノートは紹介しています。その必要条件として山下さんの超絶的なギター演奏テクニックが必要なことは言うまでもありません。近年は妻である作曲家藤家渓子氏の作品他、アジアの新進作曲家のオリジナル曲の紹介に力を入れておられます。余談になりますが現在の合唱界のボス?の栗山文昭氏が還暦をお迎えになった時のコンサートは(戻るという意味でダ・カーポコンサートと名付けられました)お祝いに十数名の作曲家がオリジナル合唱作品を栗山氏に献呈しそれを栗山氏が初演するというとんでもない企画で、私も東京で聞かせて頂きましたが藤家氏の作品には山下さんのギターがフューチャーされ独特の世界を醸し出していたことが思い出されます。
 さて、バッハは無伴奏ヴァイオリンと無伴奏チェロのためにそれぞれ6曲ずつのソナタあるいは組曲を残しました。バッハはオルガンで有名ですが18歳でワイマール宮廷に就職した時の肩書きは”ヴァイオリニスト”でした。従って弦楽器の演奏にも通暁していた訳です。完全な独奏曲はバッハ以前にも決してなかった訳ではありませんが、バッハによって完全に確立したと言っても良いでしょう。というよりその後の時代にも無伴奏ソナタの類はコダーイ(メニューインに献呈された無伴奏ヴァイオリンソナタ)他がありますが、バッハの無伴奏に肩を並べる作品は無いと言った方が正解かもしれません。
山下さんが10代で演奏したこのCD、その天才ぶりは一曲目から伺い知ることができます。オリジナルで聞くのも良いのですがギター好きの私には好みの一枚です。
RCA RECORDS BVCC-2503