ブランデンブルグ辺境伯クリスティアン・ルートヴィッヒ殿下高貴なる君主
数年前、殿下の命により午前演奏する機会を得ました時、殿下は天から授かった私のとるに足りない音楽の才を祝福してくださいました。御前を退出します時、私の作曲した作品のいくつかを送るようにご下命頂きました。そのようなご下命に従いまして,ここに様々な楽器の為の協奏曲を取り揃え,殿下への敬意を表します。殿下は音楽に対して,知らぬもののいない繊細かつ洗練された趣味をお持ちですがどうか私の不完全の作品を裁くことなく,私の畏敬の念と服従の誓いをご寛容をもっておくみ取り頂きますことを,お願い申し上げます。最後になりますが,謹んで殿下にお願い申し上げます。今後も殿下のご寵愛を受けられますことを.そして殿下にお仕えすることこそが,私にとってもっとも重要であることをご理解賜りますように。比類なき熱意を持って。
殿下のもっとも忠実な下僕
ケーテン、1721年3月24日
ヨハン・セバスチャン・バッハ
この文章はバッハがブランデンブルグ辺境伯にこの作品を献呈する際に書かれたものです。1721年にバッハはこの作品をこの公爵に献呈しました。あまりにも有名なこの協奏曲は現在バッハの傑出した代表作の一つとしていろいろな演奏家によって録音されています。このCDは2001年のサイトウキネンフェスティバルのプログラムの目玉の一つとして演奏され,録音されました。名人ぞろいのSKFの精鋭たちがワルター・ファン・ハウヴェの音楽監督のもとモダン奏法の合理性とバロック奏法のニュアンスを見事に融合させた世界最高水準のアンサンブルを実現しています。本当にすごいです。曲があまりにも有名でCDの数も尋常ではないこの曲。迷わず買って損のないセット(2枚組)だと断言できます。このCD!録音日は2001年9月3,4,5日。録音会場は松本ザ・ハーモニーホール。個人的な話になりますがこのホール自宅から歩いて5分ほどにあります。散歩にも良く出かける非常に落ち着いた雰囲気の,アルプスの山をイメージしたデザインの音楽会場です。このホールの特徴は音響の良さにあります。数々の演奏家がこのホールで演奏会をしその音響の良さに惚れ込み、このホールでレコーディングを!ということがしょっちゅう行われています。(ちなみに私が所属しているベーレンコールのメインの練習会場でもあります。もちろんホール練習はそう滅多にはできませんが天井が高くてまるで協会みたいで非常に気持ちいいです)SKF関係のCDは皆、素晴しいですが傑出したアルバムの一つです。
KICC379/80