フランソワ・クープラン(1668~1733)は16世紀終わり頃から19世紀中頃にかけてパリとその周辺で6代にわたって名音楽家を輩出したクープラン家で「大クープラン」の尊称をいただいたフランスの後期バロックの巨匠の一人であります。かのモーリス・ラベル(1875~1937 ボレロ等でおなじみ)は尊敬していたプーランクを偲んで「クープランの墓」という名曲を残していますね。クープランはクラブサンの詩人と呼ばれたほどの名手であったそうで、パリのサン・ジェルヴェ協会、宮廷礼拝堂のオルガニストを勤めました。太陽王ルイ14世が4人の宮廷オルガニストの一人に1693年25歳のクープランを招き入れました。当時、ヴェルサイユでは毎週日曜日の午後に室内楽の演奏会が催されていましたが、勿論その運営の任務も務めていました。ルイ15世が即位した2年後、1717年宮廷クラブサン奏者に就任し名実共にパリ音楽界の頂点に立ちました。そんな王宮の(王宮って人間関係がいろいろで複雑怪奇だったと思いますが)音楽はやはり雰囲気があります。只個人的な感想ですがクープランの音楽はどこか物悲しさも漂っていて意味深長な雰囲気を持っているように思えてなりません。この音楽(トリオソナタと舞曲組曲でまとめられた4つの組曲)がヴェルサイユ宮殿でなっていたと思うとぞくっとしてしまいます。
演奏はヨーロッパ・バロック・ソロイスツ。ウィーンフィルのシュルツ(フルート)とベルリンフィルのシェレンベルガー(オーボエ)を中心にモダン楽器でバロック室内楽を極めようと集まった名手たちです。諸国の名ソリスト達による時代と国を超えた音楽の融合がここにはあります。
DENON COCO 70674~5 2CD