2章 食生活の実際
1)朝食はご飯と味噌汁で十分
 ●ご飯は最高の主食
  私達がデンプンを取る方法としては、ご飯、うどん、そば、もち、スパゲッティ、じゃがいもなどがありますが、それらの中で私達日本人に最も適しているのがご飯です。だから365日、朝昼夕と毎日食べることができるのです。米で十分な熱量(カロリー)が摂れるので、調味料などからカロリーを摂る必要がありません。そのため、塩分の少ない食生活ができます。また、米には保存料や着色料などの食品添加物が含まれていません。
  したがってご飯は、砂糖も油脂類も食品添加物も含まれない最もきれいなデンプン質の供給源であり、最も安全な食品といえるのです。
 ●「常備食」―昔の人の知恵
  朝ごはんを作る際、お母さん達を助けてくれるのが常備食です。
    野菜・・・漬け物、ふりかけ  豆類(種実)・・・煮豆、納豆
    海草・・・焼き海苔、佃煮   魚介類・・・佃煮
  現代のような慌しい時代だからこそ、昔の人たちの知恵が役に立つのです。いつもテーブルの上には、漬け物、煮豆、焼き海苔、小魚の佃煮、梅干、ふりかけを置けばよいのです。
2)米と豆をおいしく食べるための知恵
 ●未精製のご飯が理想
  ご飯は素晴らしい主食ですが、やや白すぎて栄養素が少ないため、可能であれば未精           製のご飯を食べることをお勧めします。
  <玄米(糠のついた状態)>
   よく噛まなければ喉を通らないため、ダイエットしたい人にも向いていますが、胃腸の弱い人には勧められません。また、一般の電気炊飯器ではおいしく炊くのが難しいのが欠点です。
  <3・5・7分づき>
   胚芽や糠にある程度栄養素が残っています。いずれも電気炊飯器で炊くことができます。
  “どうしても白米でなければ”という場合には、麦や雑穀(あわ・きびなど)を入れるのも大変に良いことです。
 ●朝は味噌汁から
  毎朝当たり前のように食べているご飯と味噌汁、漬物ほど素晴らしい組み合わせはありません。日本人は米や麦、雑穀などを主食にしてきましたが、これらには大切なデンプンが含まれていますが、これで全ての栄養素がまかなえるわけではありません。
  そこで、タンパク質や脂質の多い豆類、中でも大豆製品を上手に利用してきたのです。
  しかし豆類は一般に消化率が高くありません。いり豆や煮豆などは消化率が60%程度しかありません。そこで醗酵という知恵で、味噌、醤油、納豆などが考えられました。味噌にすると消化吸収率は80%にもなります。
  さらに味噌汁はご飯と同じで、どんなものを入れてもおいしく食べられるのも良い点です。四季の野菜や魚介類など、何にでも合います。好き嫌いの多い野菜でも、味噌汁に入れると案外食べることができるものです。味噌汁は朝の立派な野菜料理です。
3)常に食卓においておきたい「漬け物」と「お茶」
 ●漬け物は素晴らしい野菜料理
  「おいしい漬け物さえあれば、おかずはいらない」という人も多いはずです。ところが最近は“塩分の摂りすぎは身体に良くない”という潮流の影響か、漬け物を全く食べない家庭もあるといいます。塩分の摂りすぎが良いとは思いませんが、むしろ塩分を気にするなら、直接塩をふるサラダやスナック菓子、インスタントラーメンなど、他に問題にしなければならないものは沢山あります。漬け物や味噌、醤油のように十分に醗酵したものは単なる塩ではありません。
  加えて、漬け物のほとんどは野菜を使っているという素晴らしい面があることを忘れてはいけません。
●お茶は茶色
 茶色というのは、元はお茶からつけられた色の名前です。このことから、昔はお茶は緑色のものではなく、茶色のものが飲まれてきたことが分かります。
<番茶>
熟しているので香りがよく渋みはほとんどありません。赤ちゃんからお年寄りまで誰でも安心して飲め、1日何杯飲んでも大丈夫です。
<緑茶>
未成熟の葉のため、タンニンやカフェインが沢山含まれ渋みがあります。夜眠れなくなったり、飲みすぎると胃がムカつく場合もあります。
  また、お茶にはフッ素も含まれています。フッ素は緑茶よりも番茶に沢山含まれています。歯磨きの苦手な子供でも飲めるお茶にフッ素が含まれているのです。
4)副食には野菜・豆類・種実類を
 ●野菜は旬のものを食べるのが一番
  暖かくなればその季節の野菜が成長し、寒くなればその季節の野菜が成長します。それに逆らう必要はないので、野菜はその季節のものを食べるのが一番です。
春・・・「春は苦いものを食べよ」
 アクが強く緑の濃い野菜が多くなります。生で食べる野菜は多くありません。
      ex)たけのこ、セリ、うど、ふき、菜の花、わらび、ぜんまい
夏・・・ 汗をかく季節
 水分が多く、生で食べたほうがおいしい野菜が多くなります。
      ex)うり、きゅうり、トマト、すいか、とうがん
秋・・・ 食欲の秋
 冬に備えてエネルギーを蓄えるため、熱量が高いものが多くなります。
      ex)米、麦、いも類、ぎんなん、くるみ、きのこ
冬・・・ 根野菜が多く採れ、火を通さなければ食べられないものが多くなります。
      ex)れんこん、ごぼう、だいこん、ねぎ、里いも
●マメに食べたい豆類・種実類
  副食になる植物性食品には、野菜や海草、いも類、きのこなどがあります。その中で  野菜などとは区別して、意識して食べてほしいのが豆類、種実類です。豆類は極めてタンパク質が多く、種実類は脂質が多いのが特徴です。
5)動物性食品との付き合い方
●動物性食品は魚介類中心に
  これらの問題は、最近話題になっているBSEやトリインフルエンザ、遺伝子組み換え食品などの問題に繋がっています。肉は全く食べなくても問題はありません。どうしても食べたかったら安全な飼料、飼育方法で育てられたものにしたほうが良いですが、当然そのような肉は高価なのでお楽しみ程度にすべきなのです。
  動物性食品では魚介類をお勧めします。魚介類の選び方は野菜と同じで難しく考える必要はありません。特に栄養素については考えなくてもかまいません。
●動物性食品にも良い点がある
  動物性食品は脂質が含まれているため、少量で熱量が高いのが特徴です。私達にとってはそれが過食の原因になっていますが、少量しか食べられない高齢者にとっては極めて有効な熱量補給源になっているのではないかと考えられます。