その4 待合室の本

唐澤 るつ子

挿絵歯科医院に限らずどこの医院に行っても、待ち時間の退屈しのぎに雑誌の類が置いてあります。

まあ、この頃は多少はその道専門のパンフやリーフレットが置かれるようになりましたが、 大方は、『週間・・・』や、『女性・・・』などの類です。 別に私は、ハイブラウぶって言うのではありませんが、こういうありさまを見ると、 医師は患者をばかにしているとしか思えないのです。患者にはこの程度の本を与えておけばいいのだと。

ところが、杉山歯科医院は違うのです。私は、最初受診に行った時目を見張りました。 こういう医院もあったのだと。

書棚には、 歯 に関してだけでなく、食の安全、農業、添加物、洗剤など大人は言うに及ばず、 児童、幼児向けのものまで、要するに患者の意識啓発を目的にした本がずらりと並んでいるのです。 待ち時間の間にはもちろん読めませんから、貸し出しもしてくださいます。 簡単なものから、私たちにはかなり専門的なものまであり、私は、ずいぶん勉強させていただきました。

先生の医療に対する姿勢の表れと思い、敬服しながら、読ませていただきます。