皆さんは、乳歯が抜けると上の歯は縁の下へ、下の歯は家の屋根に投げ上げると健康な永久歯が生えるという慣習を知っておられますね。実際にやっている方も多いのではないでしょうか?
当院の本棚に『母のおくりもの』(市来秀雄著)という絵本があります。あらすじを簡単に説明します。
~ 結婚式当日、花嫁衣裳に身を包んだわが娘に向かって、母親が一個のきれいな化粧箱を差し出します。その中にはなんと抜けた虫歯のない20本の乳歯が入っていたのです。母親は今将に嫁がんとする娘に向かって言いました。「私はあなたをむし歯にすることなく健康に育て上げました。あなたも今日嫁ぎます。自分の子供をむし歯にしない母になりなさい!」強いメッセージを花嫁である娘に託したのです。
虫歯のない20本の歯をそろえることは非常に難しいです。でもむし歯の治療がしてあっても乳歯は子供の生きたしるしです。捨ててしまうのはとても残念です。できうる限りとっておくようにお母さんに勧めいています。全部揃うのに8年くらいかかるでしょうか。その時間、付き合ってくれるのがこの乳歯のお家です。
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かわいい帽子をかぶった小さな木製の入れ物です。色はお子さんにあわせて5種類。裏面には名前も書けるシールが付いています。 | 帽子はふたになっています。中は20本の歯がちょうど入るように空になっています。 |
そういう思いをこめて、乳歯を抜いた後は抜けた歯をガーゼに包んで本人かお母さんにお渡ししています。そしてほんとに健康な永久歯が生えてくることを祈っています。