今年、長野県歯科医師会警察協力歯科医会は創立20周年を迎えました。その記念講演会が9月27日、長野市に於いて開催されました。(写真は挨拶中の一志県歯科医師会長)講演は兵庫県警察歯科医会 副会長 河原忍先生が「兵庫県警察歯科医会の取り組み」と題してお話しして下さいました。
 阪神・淡路大震災における対応、JR福知山線脱線事故における対応等、身元確認のための活動報告をされました。真摯な活動に感動させて頂きました。
身元不明のご遺体が見つかったときなど必要に応じて歯牙鑑定をさせて頂くのが警察歯科医の仕事です。歯科的所見は身元確認のための最後の切り札となります。わたくしも松本市の警察歯科医師を拝命しております。お話をお聞きし、改めて参考になることもあり勉強させて頂きました。
 長野県歯科医師会 警察協力歯科医会は、1985年8月12日、524名を乗せた羽田発大阪行 日本航空123便 JA8119号機が群馬県御巣鷹山で墜落した事故を機に、1986年4月長野県歯科医師会にできた組織です。今回の講演会で知ったのですが、講師の河原先生のお父上が兵庫県歯科医師会の役員をしておられて、東京での会合を終え兵庫県に戻る際、偶然にもこの123便の乗客となり、他の役員2名の方と犠牲になられたことを講演会のはじめにお話しくださいました。
大規模災害や事故は起こって欲しくないものですが、身元がまったく確認できないときには、歯科的所見が役に立ちます。たった1本の歯からも個人を特定することは可能です。(従って、皆さんの治療の記録は非常に大切です)歯の数は上下合わせて親知らずまで入れると32本。
従って各々の場所に歯があるかないかでの組み合わせは2の32乗で多分これは地球上の総人口の約倍になる筈です。それに治療の痕跡や形や大きさ等々が条件として付加されますので、個人識別が可能という訳です。
我々が出動しないで済むようにお祈りするしかありません。が、歯科医師にはこういう仕事もあることをお話しさせていただきます。