今日は8月6日。広島に原爆が投下されて62年の月日が経ちます。唯一の被爆国である日本はこの間、非核、不戦を世界に向け発信してきました。(そのはずと理解しています)しかし、世界はその流れに逆行し武装に走り、人が人を殺めるというきわめて愚かな行為が現実として行われています。悲しみは悲しみをよび憎しみの連鎖となって再び悲しみを生んでいきます。今朝、広島の平和記念公園で「原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式」(平和記念式)が開かれ、約4万人が参列しました。ラジオでその模様を聞いていました。秋葉市長、安倍総理の挨拶の後、小学校6年生の男の子と女の子のメッセージを聞いていて胸が熱くなりました。「過去の人たちを救うことはできませんが未来の人たちを救うことはできます」「悲しみと憎しみの連鎖を勇気を持って断ち切りましょう」心を打つメッセージだなと聞き入っていました。明日の朝刊に載らないかなあ?皆さんも是非御読みください!
 Vol.80の紹介と、今日この日を自分の中でどういう選曲にしようか?考えました。その結果、シューベルトの歌曲集にしました。理由はいろいろとあります。松本でもおなじみの歌姫バーバラ・ボニーとシューベルト、とくれば、人と人との闘いは無くなってくれるのではないか?という期待と、祈りです。
 このCDの第1曲目に表題の超有名なアヴェ・マリアが入っています。この詩は、エレンの歌ともよばれ、イギリスの歴史小説家ウォルター・スコットの『湖の美人』のなかに出てくる詩です。その詩にシューベルトが付曲しました。エレンはこの小説のヒロインで逆臣の汚名を負った父ダグラスとスコットランドの人里離れた高地に落ち延びます。その切羽詰まった中でエレンが聖母マリアの加護を求めて歌われるのがこの曲です。それは生と死の間で緊張と不安をはらんだ切なる祈りです。
という理由も加味しこのCDを今回ご紹介致します。シューベルト(FRANZ SCHUBERT 1797~1828)は言わずと知れたド天才の1人です。シューベルトの作品の紹介は38.鍵盤音楽の領域で即興曲をご紹介して以来です。美しいシューベルトのリート(歌曲)を今よりチョッと若いボニーがきわめて清潔に清冽に歌い上げています。
世界中の人たちが歌を一緒に歌えば戦争は無くなるよ!って誰か言ってませんでしたっけ?世界が平和でありますように!!
WARNER CLASSICS WPCS-21241
こういう蛇足をつけると上記の文面が色あせるのですがそれを覚悟で一枚の写真を載っけます。
数年前になりますがSKFで松本に来たバーバラ・ボニーさんとの貴重な写真です。