リュートのCDをついでにと言ってはなんですが,,,もう1枚ご紹介いたします。
この楽器については以前の紹介で何回かご紹介していますが,やはり音色が非常に心を落ちつかせてくれます。このCDの演奏者であるアンドレアス・マルティン(Andreas MARTIN)がこのCDのために書き下ろした解説書の中に、リュートの演奏を当時の人がどうとらえていたかを記した下りがあります。
 「ルネサンス期の人々がリュートの演奏をどのように味わっていたかを伝える興味深い記述があります。16世紀のイタリアの偉大なリュート奏者フランチェスコ・ダ・ミラノがとある晩餐会でリュート演奏をした時の様子を同席していたジャック・デカルト・ド・ヴァントミルはこう言っています。
『その演奏は,聴くものすべてを心地よいメランコリー(憂鬱?)で包み込んだ.人々は見事な演奏を更に深く味わおうと,聴くこと以外の感覚すべてを放棄して耳だけにすべての神経を集中しているかのごとくであった。』日々、耳にも目にも過剰な刺激を受けながら暮らす私たち現代人こそ神経を集中して音楽を聞く感性と心のゆとりを取り戻す必要があるでしょう.語りかけるような響きを持つリュートはそうした鑑賞に最適の楽器だと思います.繊細な音色と共にその黄金期にリュートを愛した音楽家たちが手がけた穏やかで密やかな作品の数々は都市生活をする人々にくつろぎと落ち着きを取り戻してくれます.リュートは思索的な鑑賞を促しますが,それこそが音楽の本質的な特徴であり私たちの心に書かせないものなのです。
 という記述ですが、、、最後の現代人にとってリュートのお音楽がもたらす恩恵はまさにその通りと言って良いでしょう。紹介するCDの多くがリュートになるのが自分でもよくわかります。感性とゆとり、,,なかなか手に入れるのが難しいですよね。テレビを消して良書を片手にリュート音楽というのは至福の時間にきっとなると思います。
収録作曲家
ハンス・ノイジードラー(Hans NEUSIEDRER 1508~1563)
フランチェスコ・ダ・ミラノ(Francesco Da MILANO 1497~1543)
アルフォンソ・フェラボスコ(Alfonso FERRABOSCO 1575~1628)
フランシス・カッティング(Francis CUTTING 1583頃~1603頃在世)
ジョン・ダウランド(John DOWLAND 1563~1625)
他作者不詳(ANONYMES) が最終3曲に!あのグリーンスリーブスも入っております!
運命はわが敵(かたき)のタイトル曲はダウランドの曲です。ダウランドは,合唱曲の作品でもよく知られています.私も合唱人の端くれの一人なのでこの名前は非常に親しみがあります。
さて,リュート音楽,聞いてみては如何でしょうか?
KKCC-438